難病50代主夫の病気について|誰にも言えなかった本音と、それでも前を向く理由
昨年の夏、
それは突然やってきました。
最初は体に現れた赤い発疹。
その後、背中や足に鈍い痛みが続くようになりましたが、
「疲れかな、年のせいかな」 と自分に言い聞かせていました。
異変を感じて皮膚科・整形外科・内科を受診するも、
どこでも異常なし。
それでも症状は日々進行し、
ある日突然の排泄障害に見舞われ、
泌尿器科へ駆け込みました。
しかしここでも原因は不明のまま。
転機は、担当看護師さんの一言でした。
「脳神経外科を受診してみたらどうですか」
医師に相談し紹介状を手に、その足ですぐに受診。
結果は——即入院。
急性期で進行が速く、ステロイド治療を開始。
その時点で、すでに排尿障害・両足麻痺が起きていました。
普通に仕事をしていた日常が、一瞬で変わった瞬間でした。
3日間のステロイド治療
しかし、それでも回復には向かいませんでした。
足の麻痺は止まることなく進行し、気づけば腰のあたりまで感覚が失われていました。
入院からわずか3日。
それでもまだ、正式な病名すら告げられていない状態でした。
検査の結果、脳には異常なし。
原因究明のため、神経専門の病院への緊急転院が決まりました。
そこでようやく、すべてに名前がつきました。
「多発性硬化症~視神経脊髄炎」
長い不安と混乱の日々の末に下された診断。
主治医からはこれほどの腫れはめったにない。
難病なうえ珍しい症例だと言われました。
病名がわかったことで、少し前に進める気がした反面、
その重さにしばらく言葉が出ませんでした。
車いす入院生活
転院後、すぐに強力なステロイド治療が始まりました。
免疫が極度に低下するため、
個室での徹底管理のもとでの治療。
ようやく進行は収まりました。
その後はリハビリと治療の日々。
ベッドから降りることができなかった
車いすにも一人で乗れなかった
足を持ち上げたくても10センチも上がらなかった
それが
今は——杖をついて、自分で歩くことができます。
トイレにも、自分で行けます。
それだけでも、本当にありがたいことだと思っています。
でも、完全に元通りではありません。
長い距離を歩くことはできない。
背中には、常に鈍い痛みがあります。
毎日薬を飲みながら、
痛みをごまかしながら、
それでも生活しています。
主夫としての毎日
もともとの仕事は、調理師でした。
厨房に立ち、体を動かしながら料理を作る。
それが自分の日常であり、誇りでもありました。
でも、その仕事はもうできない。
去年の末に、退職しました。
今は家にいます。
主夫として、家事をしています。
料理を作り
洗濯をして
掃除をする
体調の悪い日は、それだけでも正直きついです。
痛みをこらえながら、それでも台所に立っています。
それでも、家で何もせずにいるよりも、
「家の役に立っている」 と思えることが、
今の自分を救ってくれています。
男としてのプライド
妻は、フルタイムで働いています。
「無理して働かなくていい」
そう言ってくれます。
本当に、ありがたい言葉です。
でも、家計が楽ではないことも、
わかっています。
入院からこれまでの医療費。
高額療養費制度を使っても、
出ていくお金は決して少なくありません。
自分が働けていれば。
そう思うことが
正直
あります。
妻の優しさに甘えながらも
どこかでずっと、
引っかかっているものがあります。
どこか切ない気持ち
体が動かなくなるということは、
想像以上に気持ちの部分に影響します。
歩けるようになった。
生活もできている。
それでも
どこか
切ないんです。
料理をしていてふと手が止まる瞬間。
洗濯物を干しながら、
ふと空を見上げる瞬間。
前の自分にはもう戻れないんだな。
そんな気持ちが、静かに胸をよぎります。
嘆いているわけじゃない。
悲しみに沈んでいるわけでもない。
ただ——切ない。
その言葉がいちばん近い気がしています。
大好きだった家族キャンプ
うちの家族はキャンプが好きでした。
休みになると車に荷物を積んで、家族で出かけていました。
自然の中で火をおこして
ご飯を作って
のんびり過ごす時間が好きでした。
でも今は
「キャンプに行きたい」
そう言うことが、少し言いづらい。
自分がいることで、
家族の負担になるんじゃないか。
そんな気持ちがよぎるからです。
それでも前を向いて
病気は、簡単に治るものではありません。
この痛みとも、きっと一生付き合っていくことになります。
それでも、今できることがあります。
主夫として、家を守ること。
料理を作ること。
そして、このブログを書くこと。
同じように病気と向き合っている人へ。
支える家族がいる人へ。
「こんな生活もあるんだな」
そう思ってもらえるだけで、書く意味があります。
無理をせず、少しずつ。
これからも、50代主夫の毎日をここに綴っていこうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今日のひとこと
体は前のようには動かない。
それでも、家族と一緒に過ごす時間は変わらない。
それだけでも、十分幸せなのかもしれません。

